著者
田島 正浩 村田 芳子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
(社)日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.37-54, 2013 (Released:2014-03-15)
参考文献数
18

日本においてボールルームダンスは,その歴史的変遷から競技ダンスを中心に発展してきた。そのため現在日本においては,既成の型の習得から入り,時間をかけて踊りを研鑽・改良していく指導法が主流となっている。そこで本研究では,ボールルームダンスの指導法の導入部に着目し,既成の型の習得を中心とする指導ではなく,各種目1)の持つ音楽性やリズムの特徴,表現感を大切にし,学習者が即興的に交流しながら踊り,その特性を楽しみながら学習を進めるボールルームダンスの指導スタイルを提案し,その重要性を論じることを目的とする。ボールルームダンス指導試案では,以下の3点に着目して作成・実施された。第一に,ダンスの学習を初心の学習者にもイメージしやすい表現と重ね合わせ,第二に,各種目の特徴のある音楽表現2)を即興的に交流しながら学び進められる様な構成を試み,特にスムーズな授業の展開を重視した。第三に,これらの指導試案は,ボールルームダンスの本来の姿に存在する即興の“リード&フォロー3)”の学習に注目し,学習者がそれぞれのダンス音楽を感じ,全身で表現を楽しみながら展開する点が特徴である。このような学習を通して,身体的な国際文化交流感覚を身につけるとともに,教育としてのボールルームダンスの新たな方法の可能性が示唆された。