著者
Itoh Takashi
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
HISTORICAL STUDIES IN CIVIL ENGINEERING (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.123-130, 1991-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
44

四谷見附橋のアーチ本体は、多摩ニュータウンに保存が決まり、目下、来年度末の完成をめざして工事中である。これに先立ち、四谷見附橋の保存について土木学会内に委員会が設置され、矯の移築保存に関する検討がなされた。筆者が過去におこなった調査研究では、主に東京の橋梁史のなかでの意義づけにとどまっていた。しかし今回の作業では、わが国のれいめい期における四谷見附橋の土木史的価値があきらかになった。また現存する他の貫重なスチール・アーチ橋についても、その意義づけをすることができた。主要な内容は、次の3点である。(1) 現存最古のスチール・アーチ橋:木町橋(大阪市)の存在があきちかになったこと(2) 四谷見附橋は、本町橋よりもわずか4ケ月遅れの2番謝こ古いスチール・アーチ橋であること(3) 明治期架設のスチール・アーチ橋が、コンクリートを巻かれてメラン式コンクリート橋として現存すること