著者
Nobuo Yoshiike Fumi Hayashi
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
The Japanese Journal of Nutrition and Dietetics (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-11, 2006-02-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
25
被引用文献数
8 8

「健康日本21」において解決すべき課題として挙げられている肥満, 糖尿病といった生活習慣病の予防の観点から, 2000年に当時の文部省・厚生省・農林水産省により策定された「食生活指針」が示す10の望ましい食生活のあり方について, 具体的に「何をどれだけ食べたらよいか」を示す視覚的媒体「食事バランスガイド」が, 2005年7月に厚生労働省・農林水産省より発表された。一方, 深刻な肥満問題に取り組む米国では, 科学的根拠に基づき5年ぶりに改定された2005年版の“アメリカ人のための食生活指針”の内容を受けて, 具体的な行動変容を促すための教育ツールであるフードガイドを十数年ぶりに改定し, 2005年4月に“マイピラミッド”を発表した。従来のフードガイドよりも, より個人を意識した内容となり, インターネットを介した情報発信やガイダンスを行っている。それぞれが国民に伝えるためにとったアプローチ手法は対照的ではあるが, シンプルに相手の興味を引き, さらに長続きできるような行動変容を支援していくことを目指している点は同じである。栄養教育に従事する管理栄養士等においては, それぞれの特徴や理論的背景等を理解し, 実践の場でぜひ柔軟に活用していただきたい。