- 著者
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後藤光生 [編]
- 出版者
- [後藤光生] [写]
- 巻号頁・発行日
- 1700
書名からは平凡なスケッチ集かと思われるが、じつは宋の王継先ほか撰の『[紹興校定]経史証類備急本草』(1159年成、略称『紹興本草』)の図の転写である。『紹興本草』は中国では早くに失われたが、日本には本資料のほか、当館の別10-56本、特1-477本、特1-518本、特1-601本など、かなりの数の写本が残る。本資料は植物図(257点)、ついで動物図(97点)の順に配列され、その全点が『紹興本草』からの転写である。植物図は抄写であるが、動物図は全図を転写している。著者の後藤梨春(名は光生[こうせい]、1697-1771)は江戸の町医で、晩年は幕医の多紀氏が創設した躋寿館(せいじゅかん:のち幕府医学館)で都講(教頭)を勤め、本草を講じた。本資料はその躋寿館への寄贈本であることが、末尾の書き込み「躋寿館都講 後藤光生寄附」からわかる。梨春の本草関係著作には、『随観写真』(123-29)や、『本草綱目補物品目録 前編』(104-306)、同後編(特1-946)、『採薬使記』(梨春編、特1-464、特7-128)などがある。(磯野直秀)