著者
浮村 理 藤原 敦子
出版者
一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology and Robotics (ISSN:2436875X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.86-91, 2022 (Released:2022-05-02)
参考文献数
11

限局性前立腺癌の治療には癌制御と生活の質 (QOL) 維持の両立が望まれる. 近年, 限局性前立腺癌に対するFocal Therapyは, 低侵襲でQOLが維持でき, oncological outcomeも良好であることが報告されている. 癌病巣のみを治療の対象とする癌病巣標的化治療のmodalityとしての凍結療法とマイクロ波熱凝固療法について概説する. 本治療の成功に重要なポイントは, 適切な患者選択である. MRIで可視でき, かつ超音波でも確認可能な病変は確実な穿刺がしやすい. また, 機能温存と合併症回避のためには, 尿道括約筋や神経血管束から離れた腫瘍がよい適応である. 凍結療法では前立腺の背側に位置する (直腸に接する) 腫瘍も治療適応があるが, マイクロ波では直腸に近接する病変は, 直腸損傷のリスクがあり現状では適応外である.