著者
京都大学経済学部藤井ゼミナール論文編集委員会
出版者
京都大学経済学部藤井ゼミナール論文編集委員会
雑誌
藤月会論集
巻号頁・発行日
vol.20, 2011-02

この論文はM&Aが企業に与えるパフォーマンス効果を明らかにするものである。分析の対象とした企業は製造業(機械、電気機器業界)と非製造業(サービス、ソフト・情報、運輸倉庫業界)に属する日本の企業である。分析の結果、M&A実施企業は実施翌年度において非実施企業よりROAやROEなどが高いことが分かった。さらに、この分析ではM&Aを行う企業が元々優れた業績を残す属性がある可能性を排除しきれないため、M&A実施企業において実施前と実施後の業績を比較し業績改善効果を分析した。その際、分析結果が業界によって異なることから、製造業と非製造業のそれぞれにおけるM&Aのパフォーマンス効果の特性を分析することとなった。この分析から、 (1) 製造業では1、2年という期間では業績の改善結果が見られず、業績改善を長期間に見据えている可能性があること (2) 非製造業ではROAや売上高増加率が改善する一方、販管費率が悪化することが明らかになった。