出版者
北海道大学埋蔵文化財調査室
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-271, 1986-03-20

遺跡名:サクシュコトニ川遺跡, 所在地:北海道札幌市北区北17条西13丁目3番地(北海道大学札幌団地内)北緯43°04' 東経141° 20',調査主体:北海道大学, 調査機関:北海道大学埋蔵文化財調査室, 発掘期間:1981年(昭和56年) 8月14日~ 1982年(昭和57年) 9月24日, 調査面積:5,904㎡, 調査結果:上層より層位を異にして3文化層が確認された.『第1文化層』は擦文時代後期前半(西暦9世紀後半?).焼土が1個所検出されたほかは遺物集中地点のみ.土師器(土師質土器)甕12個体,須恵器1個体が検出された.坏は検出されていない『第2文化層』は擦文時代中期前半(西暦9世紀中葉).竪穴住居跡5軒・土壙6基・集石遺構7個所・炭化物マウンド1を含む焼土と炭化物集積139個所(73ブロック)が検出された.ここから,土師器坏113個体,土師器甕183個体,その他1個体および須恵器16個体・土製支脚7個体・土製羽口2個体・土製紡錘車14個・土製玉17個・黒曜石製剥片および石器77点・金属製品3点・骨製銛先1点,大型浅鉢1点が出土した.また,サケ科魚類を中心とする魚骨片, 栽培植物の種子(オオムギ・コムギ・キピ・アワ・シソ・アサ・アヅキ・ウリ・コメ)など,炭化材(ヤナギ属・トネリコ属・クルミ属・カエデ属・ニレ属)が検出された.集落跡の南部に接する埋没していた幅12mの旧河川から『魚類を捕獲するための柵列遺構』が木製銛,金属製魚鈎銛(マレク)などの漁具や用途不明の木製品をともなって発見されている.ただし,これが第1文化層・第2文化層のいずれに属するものなのかについては,確定できなかった.『第3文化層』は2次的な堆積層で,続縄文時代中期後半(西暦4世紀)とおもわれる土器片が検出されただけであった.資料の所在:発掘された資料は北海道大学内の埋蔵文化財調査室に展示・保管されている.