著者
壁谷 早苗 小山 久一 堂地 修
出版者
北海道牛受精卵移植研究会
雑誌
北海道牛受精卵移植研究会会報
巻号頁・発行日
no.27, pp.5-10, 2008-08

本研究では、授精日卵胞長径と授精後7日目黄体長径と受胎の関係およびBCSの低下と乳量と受胎の関係を調べた。供試牛は排卵を確認したホルスタイン経産牛延べ88頭である。黄体および卵胞の最大長径(長径)は超音波画像診断装置を用いて測定した。ボディコンディションスコア(以下、BCS)は乾乳期から受胎日まで毎週1回実施した。乳量は、人工授精実施月の平均日乳量を計測した。授精日の卵胞長径は、受胎牛、不受胎牛ともに2.0±0.4cm、授精日の卵胞長径の違いが受胎に及ぼす影響はみられなかった。しかし、1.3cm以下と2.6cm以上の牛はいずれも不受胎であった。また、授精後7日目の黄体長径は、受胎牛で2.9±0.5cm、不受胎牛で2.8±0.6cmで、授精後7日目の黄体長径に及ぼす影響は認められなかった。しかし、1.9cm以下と4.Ocm以上の牛はいずれも不受胎であった。授精日のBCSは不受胎牛が受胎牛に比べ有意に低かった(p<0.05)。以上より、乾乳期から授精日までのBCS低下は受胎に影響することが認められた。また、授精日の卵胞長径および授精後7日目の黄体長径は、極端に小さいもしくは大きいものは、受胎に悪影響を与える可能性があると考えられ、さらに詳しく栄養と卵巣機能について検討する必要がある。