出版者
山本九左衛門
巻号頁・発行日
vol.[2], 1664
出版者
山本九左衛門
巻号頁・発行日
1664

仮名草子。作者未詳。内容は、慶長9年6月10日清水寺の万灯会に、関東武士で好色の恨の介が、近衛家の養女、実は秀次の家老木村常陸介の遺児雪の前を見染め、つてをえて恋文を送る。返事の中の謎を解いて一夜の契りを結ぶが、二度の逢瀬を遂げることができず恨の介は衰弱死する。恨の介の最後の手紙を見て雪の前も絶死し、雪の前の所縁の三人の女性も後を追って自害する。このことが上聞に達し、二人の亡骸をひとつ墓に葬った。慶長11年禁中の女房と密通し改易蟄居中に死亡した旗本松平若狭守近次をモデルにしたとする説がある。版本に10行本と12行本の古活字本、整版本に明暦2年高橋清兵衛版と当館所蔵の寛文4年山本九左衛門版がある。(岡雅彦)