- 出版者
- 山田市郎兵衛
作法書。5巻1冊。山田市郎兵衛版。上流階級の女性のたしなみ、作法について述べた書。若干構成が雑で、巻3~5には内題、目録が備わるが、巻1、2にはない。巻1巻頭は「女房つねにわきまふべきいろいろ」で始まり、女房躾がたの次第、万喰ひかたの次第、巻2は女中方のかよひの次第、みやづかへする人心得べき品々、巻3は嫁入りの次第、娵取り云入れの次第、巻4は真の祝言の次第、草の祝言の次第、巻5は産屋の次第、誕生の次第、末尾に元服の次第を加える。衣裳図、座敷図、行列図など23図あり。本書の刊年は不明だが、巻末に山田市郎兵衛とあるのは、明暦2年(1656)から天和(1681-1684)にかけて仮名の草子を多数出版した書肆であり、本書の挿絵の数を増やし、本文も巻6、7と増補した書を万治3年(1660)に出している。したがって、本書はそれ以前の刊と推定される。なお増補版は万治3年山田市郎兵衛版のほか、同年田中文内版、延宝3年(1675)両替屋市三郎他版、天和3年(1683)池田屋三郎右衛門版、貞享5年(1688)平野屋佐兵衛版、万治3年の別版に森屋平兵衛版と本屋名削除本などがある。(岡雅彦)(2019.2)