著者
坂根 直樹
出版者
日本先進糖尿病治療研究会
雑誌
日本先進糖尿病治療研究会雑誌 (ISSN:24360058)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.8-16, 2022 (Released:2022-08-02)
参考文献数
37

1型糖尿病では生活の質(QOL)が低下している。持続皮下インスリン注入療法(CSII)は、1型糖尿病に対し、血糖コントロールとQOLを改善させることに関して、頻回注射療法(MDI)の代替となる可能性がある。CSIIを使用している患者のQOLに関する文献は限られている。本研究の目的はCSIIを使用している1型糖尿病を持つ人のQOLに関する文献レビューを行うことである。検索エンジンPubMedで“type 1 diabetes”、“CSII”、“QOL”とした。選択論文は、2010年1月~2021年7月に発行された査読付き原著論文とした。QOL測定には、全般的な尺度(SF-36とEQ-5D)、糖尿病に特化した尺度(DQOL、KINDL-DM、PedsQL)、CSIIに特化した尺度(CSII-QOL)が用いられていた。2件のランダム化比較試験、11件の観察研究(縦断研究と横断研究)、2件の質的研究がみつかった。PedsQLでQOLを評価した1,007名の被験者を含んだ3つのランダム化比較試験のメタ解析では、MDIに比べ、CSIIでQOLの有意な改善が認められた(平均値の差=6.33、95%信頼区間=0.91-11.76、P=0.022)。CSIIは1型糖尿病を持つ人のQOLを改善させる可能性がある。この事実を確認するためには、さらに大きなサンプルサイズとCSIIに特化したQOL尺度を用いたランダム化比較試験が必要であろう。