著者
安酸 史子
出版者
日本腎不全看護学会
雑誌
日本腎不全看護学会誌 (ISSN:13447327)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-38, 2010-04-15

Ⅰ.患者のパワーの源 慢性疾患患者は完全な治癒が望めないことから生涯にわたるセルフケアが必要とされ,そのために希望がないという気持ち(hopelessness)や,自分ではどうにもならない無力感(powerlessness)をいだきやすいといわれている.Millerは慢性疾患患者のパワーの源泉を7つあげ,慢性疾患によってそれらのパワーの源泉が弱ってしまいやすいこと,そしてそのときに感じる powerlessness の状況に対処し続けることが,慢性疾患患者の主要な仕事であると述べた.7つのパワーの源泉とは,①身体の強さ,②精神的スタミナ-ソーシャルサポート,③肯定的自己概念,④エネルギー,⑤知識と洞察力,⑥モチベーション,⑦信条体系である(図1).