- 著者
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古矢 篤史
- 出版者
- 日本近代文学会 関西支部
- 雑誌
- 関西近代文学 (ISSN:27584097)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.22-42, 2023-03-20 (Released:2023-03-24)
本稿では、日中開戦期の婦人雑誌『主婦之友』と、これに掲載された横光利一の「春園」をとりあげ、この時期に形成された「銃後」の言説のなかで文学がどのように位置づけられるのかを考察する。従来、「春園」は複数の男性登場人物が一人の女性を「教育」していくピグマリオン物語の構造を有することが指摘され、男性に支配され隷属する時局のジェンダー規範に沿うものとして捉えられてきた。しかし、「銃後」は女性が旧来の家族制度から解き放たれうる社会参加の契機ともなったのであり、その複雑な言説構造を読み解かねばならない。「春園」が複数のジェンダー規範が錯綜し衝突しあうテクストであることを明らかにする。