1 0 0 0 OA 楊貴妃物語

出版者
本屋太兵衛
巻号頁・発行日
1663

寛文3年(1663)本屋太兵衛版。唐の玄宗皇帝が楊貴妃を溺愛して治世が乱れ、忠臣の将軍司馬頓は都を離れ、隙に乗じた安禄山の反乱で楊貴妃は殺され、玄宗も都を落ちる。玄宗は方士に楊貴妃の魂魄を尋ねさせ、方士は蓬莱山(日本の熱田)で熱田大明神である楊貴妃に会い簪を持ち帰る。将軍司馬頓は白楽天の智恵を借りながら安禄山を討ち、玄宗を帰洛させる。本書は6段の構成と段初の「さる間」の語などに浄瑠璃の痕跡を残すが、書物の版式は通常の浄瑠璃本とは異なり、書型、挿絵、本文の字様など、通常の仮名草子の形態を持っている。屋代弘賢(1758−1841)の「不忍文庫」、徳島藩の「阿波国文庫」の印記がある。(岡雅彦)