著者
和田 正法
出版者
東京工業大学社会理工学研究科技術構造分析講座
雑誌
技術文化論叢 (ISSN:13476262)
巻号頁・発行日
no.22, pp.21-36, 2019-04

大学初年次生を対象とする教養科目の枠内で,担当教員の負担を少なくしながらも,効果的に学生の自立的な研究力を育成できるPBLの仕組みを開発し,実践した.運営の柱は,次の四点である.(1)評価基準を明示する.明確な目標を学生に示すことそのものが,学生の成長につながる.(2)相互評価を重視する.受講生にとっては,評価基準の周知にもつながり,教員にとっては,採点作業の軽減になる.(3)一連の単純な研究調査作業を授業の中で繰り返す.頭では理解できても,実際にできるとは限らない.複数回同様の作業を経験させることで,学生が自ら研究を遂行する力を身に付けさせることができる.くわえて,(4)研究公正を意識させた記録を行わせる.基本的な実験ノートの記録手法を知っておけば,どの分野でも研究に生かすことができる.本稿が示すPBLの柱は,他の多くの分野に適用が可能であろう.