著者
清水 幾太郎
出版者
水産庁さけ・ます資源管理センター
雑誌
さけ・ます資源管理センター研究報告 (ISSN:13447556)
巻号頁・発行日
no.7, pp.105-115, 2005-03
被引用文献数
1

わが国の沖合サケ漁業は衰退したが、国産シロザケの生産量はふ化放流事業の成功によって年々増加してきた。しかし、サケ市場が国際化したことによって国産シロザケの産地価格は低迷し続け、わが国のサケ漁業は存続の危機に直面し構造改革を迫られている。国産シロザケの価格変動要因を明らかにするために、北海道の水揚げ港におけるシロザケ価格の短期および長期の変動機構並びに産地市場におけるシロザケの価格形成要因を計量的に分析した。生鮮サケ類産地価格は生鮮サケ類在庫量と生鮮サケマス類輸入量が増加すると低下し、塩蔵サケ卵と生鮮サケ類の在庫量が増加すると下落した。近年、輸入サケマス類の主体が天然サケ類から養殖サケマス類にシフトし、さらに養殖サケマス類の輸入量が冬期間に増加してきたため生鮮サケ類の在庫量が増加した。この結果から生鮮サケ類の産地価格に対する在庫量の影響が明らかになった。在庫量を減らし産地価格を安定させるためには鮮度保持、新商品開発、安全性維持によって国産シロザケ市場の拡大を図る必要がある。このためにはシロザケに対する消費者嗜好の分析とニーズの把握が漁協やサケ資源の増殖機関などの供給側にとって重要である。