著者
林 陽子
出版者
神奈川県水産総合研究所
巻号頁・発行日
no.3, pp.31-37, 1998 (Released:2011-03-05)
出版者
神奈川県水産総合研究所
雑誌
神奈川県水産総合研究所研究報告 (ISSN:1342176X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.11-16, 2002-03

サメ類は高位捕食者として食物連鎖の頂点に立つ生き物であり、生態系においても重要な役割を果たしている。しかし、生活史特性のもろさが起因してその資源は乱獲に陥りやすく常に資源崩壊の危険性を秘めている。実際、目的外の魚を捕獲する混獲により資源が枯渇する事態も生じている。これと軌を一にして、環境保全の面からサメ類の保護が声高に叫ばれるようになっている。一方、サメ類による漁具・漁網の破損、鉤針にかかった漁獲物がサメにより捕食される食害、さらには人身被害などサメがヒトに与えるマイナス面もしばしば問題になっている。このような漁獲被害や混獲の問題は、特にマグロ延縄漁業で多くみられ、その被害も大きいとされている。サメ類による漁業への被害は主に外洋性大型サメ類が研究対象となっており、沿岸性のサメ類に関する被害の具体例についての知見はほとんど見られない。相模湾において底立延縄によるギスの資源調査を行う過程で、漁獲されたギスとトウジンにサメ類による食害と思われる形跡が数多く見られた。また、ギスの資源調査で混獲されたサメ類を材料として、相模湾におけるフトツノザメの食性調査が行われた。