著者
中村 美由紀
出版者
聖泉大学 看護学部
雑誌
聖泉看護学研究 (ISSN:21871981)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.29-34, 2018

目的 産褥早期に出産体験を傾聴するバースレビューは,出産の過程での喪失体験に伴う悲嘆の表出を助け,自己肯定感を高め,母親役割取得の一助となる.しかし,出産体験の評価は時間とともに変化するため,時期や方法をさらに検討する必要がある.育児期のバースレビューの研究の現状を明らかにし,今後の方向性を検討する.方法 過去16年間の原著論文を対象に検索し,研究テーマに合致した7 件を,目的および結果の類似性に基づき分類・分析した.結果 量的研究1 件,質的研究6 件であり,調査時期は産後1 か月までが3 件, 2 〜3 ヶ月が1 件, 1 〜3 年が3 件であった.分類した結果は「語りの実際」と「語りの意義」,「語りの効果」であった.特に産後1 〜3 年では,ネガティブな内容の語りが多く,否定的な体験は強く記憶に残っていた.考察 育児期のバースレビューも出産体験での悲嘆の表出を助ける効果があり,特にハイリスク妊娠・分娩の事例では,産褥早期から育児期にかけて複数回の援助が効果的である.