著者
葛飾北斎一世 画
出版者
藤屋宗兵衛
巻号頁・発行日
1841

葛飾北斎画の工芸細工図案本。横中本1冊。刊記、天保12年(1841)補刻、江戸西村与八、同伊勢屋三次郎原板、江戸藤屋宗兵衛板。原板は文政6年(1823)、西村与八と伊勢屋三次郎の相板で、その求板補刻本。前半22丁と半丁をキセル、後半8丁を櫛に配当するが、キセルの1丁が後半に混入する。その他、乱丁あり。いずれも図案の見本で、松亭金水の序文に「山水花鳥魚鼈のたぐひ、悉く真を得たり」というごとく、山水、花鳥、獣魚、人物、故事の多岐に亘り、そのほとんどは微細で写生的な図であり、簡略で幾何学的な模様はほとんどなく、それぞれの図案は、『北斎漫画』とも共通するものがある。キセルは男女や「のべぎせる」「大ぎせる」などに分けて図案を示す。詞書きの中に「きせるのかたちはそのときのりうこうにしたがひ、いろ/\へんくわすべし、たゞ/\もやうをづしてほりのしやすからん事を第一とする」とある。板ぼかしも使用。(鈴木淳)(2017.2)