著者
横川 浩冶
出版者
香川県水産試験場
巻号頁・発行日
no.2, pp.47-74, 1986 (Released:2012-12-03)

香川県の湖沼に生息するブルーギルの生態に関する研究を行なった。調査場所として年1回定期的に干上げる先代池、および周年干上がらない満濃池を選定した。調査項目は容量法による胃内容物分析、GSIの変動による産卵期の推定および鱗に出現する輪紋を用いての年令査定等である。食性に関しては、満濃池では原産地の北アメリカでの食性に酷似し、ユスリカ類の幼虫を主とする昆虫食性であった。一方先代池では、0歳の小型魚が主に生息しており、Copepodaが主な餌料となっていた。つまりブルーギルは摂餌し易い食物を食べ、特に摂餌の選択性は認められなかった。産卵期は満濃池ではGSIの変動より6月上旬~7月下旬と推定され、満1歳で成熟するようであった。両池のブルーギルとも体重は体の長さの3乗以上に比例し、体高および鱗径は全長の増加に伴って相対的に大きくなることが明らかとなった。満濃池においては、9~11月の水位の低下時と1~4月の低水温時に鱗に輪紋が形成され、全長(l)と輪紋数(n)は次式により表わされた。l=58.453{3.941 (1-1.076・e(-O.224n))}(0.718)またブルーギルは籠網および釣りにより比較的選択的に捕獲され、籠網の餌に用いた豚脂に強い嗜好性があることが認められた。