- 著者
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足立 和美
Wang Sarina
Kaheiran Maimaiti
- 出版者
- 鳥取大学地域学部地域教育学科
- 雑誌
- 地域教育学研究
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.58-68, 2010-03-01
日本でも中国でも、生徒が第二言語で発話できない主な原因は誤りに対する恐怖心や恥の感覚が妨害するからだと考えられてきた。そこで英語教師たちは、まず自分たちが率先して英語を話すことにより教室内で英語を使うことが極めて自然になるように努めてきた。同様に、発話をなるべく自然に促進させるための指導法も数多く試されてきている。このような授業や指導法を通して、生徒たちには誤りを恐れることなく積極的に英語で話すよう奨励してきたのである。しかしこれまでの教育実践を見ると、どちらの国でも期待されるような成果は上がっていない。教育現場の状況や生徒の英語力を検討すると、生徒たちが発話しないのは、間違えるのが恥ずかしいといった心理的な要因のみによるのではないことが理解される。より大きな原因は、文生成のための基礎的な能力の欠如、あるいは、暗記・模倣と生成のギャップに関わる問題などにあるのだ。本稿では、このような問題を克服し発話を促す方法として、Widdowsonらが指摘したチャンクとSwainの提唱した仮説生成を柱とした理論的枠組みを提唱している。また、初期の発話時にはつきもののerrorとは、実は、approximationの例として見る方がより正しいことも主張している。日本であれ中国であれ、学習者のコミュニケーション能力を養成するためには、発話量を増加させることが不可欠である。そのためには、本稿で述べたような発話を支援するための有効な方法をさらに発展させ、かつ発話時のerrorに対する概念を根本的に転換することが必要となるのである。