- 著者
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新原修一
- 出版者
- 鹿児島県林業試験場
- 雑誌
- 研究報告 (ISSN:02896885)
- 巻号頁・発行日
- no.7, pp.1-13, 2002-04
- 被引用文献数
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近年日本に発生が知られるニオウシメジMacrocybegigantea(Massee)Pegler&Lodgeについてその栽培化を試み、以下のことが明らかになった。 1.野生の子実体は鹿児島県下では主に8月から11月にかけて発生が見られ、10月が発生のピークである、発生場所は草地・畑などの開けた所がほとんどである。腐植質を含んだ肥沃な土壌では大きな子実体(数kg以上)が発生する。 2.子実体組織からの分離培養には供試したものではSMY寒天培地が最適である。PDA培地では菌株によっては菌糸が伸長しない場合がある。 3.菌糸は20-40℃の範囲で成長が見られ、25-35℃で良好である。成長のピークは30℃前後である。 4.栽培培地としてはオガクズ(イタジイ)よりもバーク堆肥を基材とした培地で菌糸伸長が良い。組成は検討の結果、パーク堆肥とフスマを10:1(容積比)に混合したものが最適と考えられる。 5.子実体は培養終了後の培地に覆土(湿らせた鹿沼土)を行い、25-28℃・RH90%の環境に置くことで発生が見られた。菌株により、発生までの期間・子実体の形質・発生量に大きな違いが認められる。 6.培養終了後の培地を野外に埋めることで、空調室内と同等の子実体発生量が得られる。