著者
軽部 恵子
出版者
Japanese Associatin of International Women's Rights
雑誌
国際女性 (ISSN:0916393X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.78-80, 1998

ビッグバン法改正が進み, 日本も業界再編成時代へと突入しました。銀行や証券の合併, 業務提携が相次いでいます。昨日の敵は今日の友。<BR>以前はライバル同十だった会社も, 今度は一緒に仕事を進めていかなければなりません。ここでまず問題になるのは, 企業風十 (カルチャー) の違いとシステムの不適合。今まで別々のシステムを使ってきたのに今度は同じシステムを共有していかなければならないので, さまざまなトラブルが発生してしまいます。<BR>例えば, 2000年問題。日付が西暦2000年になったら年号が1900年か2000年か, と認識できずにコンピュータトラブルが発生するおそれがあるので, 各社は今からシステムの状況を調べて, きちんとした対策をとろうとしています。この2000年問題一つにしても, 「我が社はダイジョウブ」と思っていても, 合併すると, また一からお互いに調べ直さなければならなくなります。こういうときに, あまりにもカルチャー (ここでは仕事や生活における価値観という意味で) が違う人同士が一緒に仕事をしていると, ただでさえタイヘンな仕事が二倍も三倍もタイヘンになる。<BR>こういうときに, 個人として心安らかに仕事をしていくにはどうすればいいでしょう。ひとつは, 「違いを受け入れる人間になる」ということ。日本語以外の言葉を学び, できるだけ本を読み, 映画を見たり, 旅をして, 世の中のいろいろな立場にいる人たちの気持ちを想像する力を養う。一見理不尽な命令, と思えても, 命令者の立場を思いやるだけの想像力があれば, 「忙しくて, つまらなくて, ツライ」という気持ちだけで仕事をしなくてすみます。<BR>もう一つの大事な準備は, 他社に勤める親友を持っ, ということです。ビッグバン時代のサバイバル!と肩に力を入れなくてもいいのです。合コンのアレンジを買って出てもいいし, 軽井沢の貸し別荘を借りてみんなでテニスに行く企画をしてもいい。そういった交流や会話のなかから, これから自分の職場に起きる変化はどのようなものがあるか, を感じ取ることができます。備えあれば憂いなし。他社の友達との情報交換をまめにしていれば, いざ, というときにあわてなくてすみますね。