著者
小柴 健
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1400-1401, 1978-10-10

曙光から現在まで 人間に対する腎移植の歴史は古く,当初は異種動物の腎を使用して行われた.1906年Jaboulayがブタとヤギの腎を尿毒症婦人の両腕に移植したのが最初であるが,これは失敗に終わっている.ついでUnger(1906),Schonstadt(1913)およびNeuhof(1923)がそれぞれサル,類人猿,ヒツジの腎を用いて尿毒症患者に異種移植を行っているが,いずれも効果的な移植腎機能を見ずに終わっている.こうした異種動物の腎を用いての移植はその後40年間記録されていないが,1963年になってから,Hitchcock,Reemtsma,Starzlらによって,ヒヒまたはチンパンジーの腎を用いて相ついで再開された,このときにはイムランやプレドニソロンを用いての免疫抑制療法がすでに開発されており,これら症例の多くに一時的にせよ良好な腎機能を認めたが,長期生着をみるには至らなかった.現在では,異種移植は腎移植の臨床の分野から姿を消したままになっている. ヒトの腎を用いての同種移植は,1936年にソ連のVoronoyによって初めて行われた.水銀中毒の26歳の婦人の大腿部に脳炎で死亡した患者からとった腎を移植し,尿分泌が得られたが,異型輸血のため48時間後に死亡したと報告されている.これは急性腎不全に対する同種腎移植の初例であるとともに死体腎移植の初例でもあった.

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