- 著者
-
江崎 孝行
趙 立成
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.1898-1901, 1999-11-10
チフス菌(Salmonella typhi)は通性嫌気性のグラム陰性桿菌で,Enterobacteriaceae腸内細菌科に属する危険度レベル3の病原体である. 菌体の周囲は多数の鞭毛がついており(図1),表面はさらにVi抗原と呼ばれるきょう膜で覆われている.腸チフスを疑った場合は,選択培地SS培地(Salmonella-Shigella)を使用して便を直接この培地に塗布して分離培養するするが,他のサルモネラと異なりこの菌はSS培地上で硫化水素の産生が弱いため,赤痢菌と同じような透明の集落をつくる(図2).硫化水素は徐々に産生され,数日経過すると徐々に中心が黒く周辺が透明の集落になってくる.