著者
影山 任佐
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.551-559, 1983-05-15

皆さん,これから私が皆さんにお話しようとしている病人というよりも,むしろ異常者(anormaux)はその大多数が通俗的意味での精神病者にはけっして似ていない分別のある者たち(individus Iucides)である。彼らの行動を観察し,彼らと話をし,彼らの通信・文書を読んでみても,まず最初にはいかなる病的障害も発見されず,しかも長い間入院している患者にさえも,生き生きとした鋭い知性,機智や思慮深い反省を見つけ,驚かされることがしばしばある。ある者はもっともらしい請願を出して満足している。またある者はものごとの大部分を特別な角度から考えるという偏見に導びかれた極端な理屈家,誤った分別の持ち主といった印象を与えている。これらの者たちと本質的特徴は何ら異なるところはないが一部の者は逡巡することなく非常に大胆な主張をする。則ち彼らは奇妙な迫害を訴えるか,あるいは彼らは自分たちを偉大な人物と考えたりする。時間をかけた会話によって,彼らは取るに足らない偶発的なできごとを彼らの支配的傾性と関係している一面的で自分勝手な意味でたえず説明しようとしていることが明らかとなる。彼らは周囲の人々に関心を持ち,新聞を注意深く読み,ごくささいなことにも注目し,そしてここから彼らの考えに有利な数多くの論拠を取り出すすべを心得ている。常に幾分でも本当らしい,時には検討するに足るこの考えは度はずれた想像や感覚性錯覚の産物では決してなく,明敏な観察と研ぎすまされた洞察の結果として現われるものである。 理性と不条理との奇妙な混合が認められるこれらの者たちは解釈妄想病と呼ばれる慢性精神病に罹患している。この精神病を描写する前に,私は皆さんに妄想解釈症状について若干述べておきたい。

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@petrol0110 あのように出所不明な造語の数々は『解釈妄想病』(の現代版)』だろうと思っています。 —J. Capgras—解釈妄想病—第1回 (精神医学 25巻5号) | 医書.jp https://t.co/1UeyqBu97o

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