著者
野本 文幸
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.829-835, 1987-08-15

抄録 9歳女児の一卵性と考えられる双生児に同時期に認められた,食物の吹出しと犬の遠吠え様の持続的捻り声を示す病態を経験した。本双生児たちは,実母と但母(実母の姉)とによって別々に育てられたが,両家は近所にあるため患児達もよく一緒に遊んでいた。2人の感冒罹患時,それまでA(姉)には食物の吹出しが,B(妹)には唸り声が認められ,2人一緒に二人部屋に入院したことを契機に,入院した翌朝には食物の吹出しがAからBに,捻り声がBからAに伝播し,以後2人とも全く同じ症状を示した。そして,2人の分離によってAの吹出しと捻り声,Bの吹出し,つまり伝播した症状,は速やかに消失した。 本例は双生児間の感応精神病(ヒステリー感応型)と考えられ,いわば「双生児間相互感応型」と称せられる病態であった。また,患児達の示した捻り声は,ヒステリー性失声に対して「ヒステリー性発声」と呼べることを報告した。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

9歳の一卵性と考えられる双生児に認められたFolie à deux(ヒステリー感応型) (精神医学 29巻8号) 発行日 1987年8月15日 野本 文幸 群馬大学医学部神経精神医学教室 医書.jp https://t.co/rMQCEORfio

収集済み URL リスト