- 著者
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吉田 益喜
成田 智彦
川田 暁
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.642-646, 2013-07-01
要約 外鼻下半分は,皮膚,支持組織の軟骨と裏打ちの粘膜とから構成され,複雑な形状をしている.その再建法には局所あるいは遠隔皮弁,遊離皮弁,composite graft(複合組織移植)などさまざまな方法があるが,今回,2001年4月~2010年6月に行った鼻再建の中で耳介部をドナーとしたcomposite graftを行った12症例を検討した.再建例の2/3は男性であり,原疾患は基底細胞癌が最多であり,部位は鼻翼が最多であった.移植片の長径は平均20.4cm,幅平均15.3mmであり,移植後は3例に部分壊死があり,他は全生着した.患者の満足度はほとんどの例が満足であった.耳介部をドナーとしたcomposite graftによる鼻再建は,外鼻下半分の形態に非常に適合し,手技が簡便で,有用な再建法と思われた.