著者
木下 美咲
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.157-161, 2017-04-10

summary肉眼的には診断が難しい場合の脱毛症のトリコスコピーによるフローチャート式脱毛症診断につき,病態と所見を照らし合わせながら解説する.毛包の不可逆的破壊の結果として起きる“diffuse white areas”は瘢痕性脱毛症で観察される.毛幹破壊像である“broken hairs”,“black dots”が観察される場合,円形脱毛症,トリコチロマニアが疑われ,後者では“follicular microhemorrhage”に代表される人為的破壊像が確認できる.毛周期異常像には“tapering hairs”,“short nonvellus hairs”,“hair diameter diversity”があり,円形脱毛症,休止期脱毛,男性型・女性型脱毛症の診断に役立つ.形態異常所見を認める場合には遺伝性脱毛症も疑う.これら主所見の有無を順次確認することで代表的脱毛症を診断する.さらに副所見として瘢痕性脱毛症では“peripilar scales”,“hair tufting”のほか,慢性円板状エリテマトーデスに特異的な“red dots”がある.円形脱毛症では“yellow dots”や“short vellus hairs”が,男性型脱毛症では“peripilar sign”が観察される.続発性脱毛症では所見が典型的でない可能性があることに注意を要する.

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