著者
齋藤 京
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1047-1051, 2019-12-01

要約 42歳,女性.既往に憩室炎,単純ヘルペス,クラムチャウダーでの口唇アレルギーがある.左手指に発赤,遅れて喉の違和感や軽度の腹痛,口唇の腫れも生じたため紹介された.左手指と左頰に紅斑,右下口唇には水疱も出現したが,受診時すでに軽快中であった.1か月後に,発症時と同じファミリーレストランでの食後に同じ皮疹が再燃し再受診,臨床および病理検査で固定疹と診断した.原因として普段飲まないドリンクバーでのトニックウォーターを疑い,試飲によるチャレンジテストを施行し陽性だった.トニックウォーターはメーカーによっては苦み成分のキナ抽出物が含有されており,それによる固定疹の報告が散見される.その認知度はまだ低く,診断確定には時間を要することが多いが,今回は速やかに診断できた.飲食店によってはトニックウォーターがアルコールに限らず清涼飲料としても提供されていることから,周知が必要である.

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