- 著者
-
古川 智之
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.380-381, 2013-05-15
Case
MAO阻害薬とデキストロメトルファンの併用で副作用が生じた例
●患者:年齢不明の女性.
フェネルジン15mgを1日4回服用中であったが,デキストロメトルファンを含む咳止め薬,約55mlを服用した30分後に,吐き気とめまいを訴える.4時間にわたり42℃の高熱で,最高血圧が70mmHgとなり,意識不明の状態が続いた後,心臓停止で死亡した.
●患者:15歳の少女.
チオリダジン,プロシクリジンおよびメトロニダゾールとともに1日3回フェネルジン15mgを飲用していたが,1カプセル中に臭化水素酸デキストロメトルファン15mg,酒石酸フェニンダミン6.25mg,塩酸フェニレフリン5mgおよびアセトアミノフェン120mgを含むカプセルを13個服用した.彼女は昏睡状態で,異常高熱(40℃),血圧100/60mmHg,脈拍160bpmの後,心臓停止で死亡した.
●患者:28歳の女性.
フェネルジンとグアイフェネシン(去痰薬)100mgを含む臭化水素酸デキストロメトルファン15mgを服用後,ミオクローヌスと硬直を発症し,無反応に至った.
比較的MAO阻害作用の強いフェネルジン(わが国では未発売)と,デキストロメトルファンの併用によって副作用が惹起した症例が,海外で数例報告されている1, 2).