著者
山本 隆
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.694-700, 1999-10-10

味覚は嗅覚とともに他の感覚とは異なり快・不快の情動性に訴える要素が強い。味覚性情動の処理に重要な役割を果すと考えられている扁桃体の働きをいくつかの側面から考察した。扁桃体は味覚性入力を受けたあと,その情報の価値を生物学的観点から判断する。その結果,快(おいしい)・不快(まずい)が実感されるのであるが,その脳の仕組みについてわれわれの行動薬理学的実験をもとに考察した。また,最近のヒトの非侵襲的脳機能計測法による扁桃体の応答特性についても言及した。さらに,味覚をもとにした学習としての味覚嫌悪学習や味覚連合性嗅覚学習における扁桃体の重要性を筆者らの実験結果を紹介しつつ解説した。

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