著者
中川 遵 嘉川 須美二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.691-695, 1977-09-20

I.はじめに 耳閉感は耳鼻咽喉科を訪れる患者の愁訴群中もつともpopularなものの1つである。その原因疾患としては①外耳閉塞疾患(耳垢栓塞,外耳道閉鎖症など),②中耳伝音系障害(中耳カタル,耳管狭窄症,鼓膜外傷など),③内耳障害(メニエール氏病,突発難聴など)が挙げられる。特に注目すべき点は,難聴が軽度の場合あるいは突然おこつた場合は難聴を自覚せず,まず耳閉塞感を訴えることである。したがつて耳閉感は一面としては重篤なる難聴の初発症状としての意義もあると言えよう。現在のところでは後迷路系の聴覚伝導路障害による耳閉感は,はつきりとしていないので,まず耳閉感患者には上述の①〜③の原因によるものを考え得る。しかし私たちが耳鼻科外来にて診療を行なう場合,これらの疾患群に当てはまらない,あるいは他の特別の疾患を伴わないのにもかかわらず,不快感のある耳閉感を訴える症例にしばしば遭遇する。いわく聴力検査正常,耳管通気度良好,鼓膜所見・外耳道所見正常といつたものである。このような例は一般臨床医家を苦しめるものであり,仕方なく当座の処置として耳管通気法,鼓膜マッサージ,ビタミン類の投薬を漫然とくり返していくうちに患者の信を失うに至るものである。私たちはこのような例の多くに,後頭部の鈍痛,胸鎖乳様筋付着部の圧痛,下眼瞼部の圧痛,緊張性頭痛,眼のかすみ,悪心などのいわゆる肩こりに随伴した症状を見出し,それらの症例に対し主として肩部の有痛部への1% lidocaineブロックないしneucoline Pのブロックを施行したところ,肩こりの改善と平行して耳閉感の消失あるいは改善をみたので報告し,併せて肩こりからの耳閉感の発生要因について考察を加えた。

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