著者
斎藤 環
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.374-379, 2021-07-15

存在論的、郵便的 前回予告したように、今回は「否定神学」がなぜ批判され、衰退していったかについて検討してみたいと思います。 何度か触れてきたように、この衰退においてもっとも大きな影響をもたらしたのが、哲学者で批評家の東浩紀の存在でした。1998年、東は弱冠28歳でデビュー作『存在論的、郵便的』*1を出版します。本書のインパクトは非常に大きいものでした。私が知る限り、東より下の世代の思想家、批評家のほとんどが、心酔するにせよ反発するにせよ本書の大きな影響下にあります。

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