著者
高木 敏英
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.1, pp.24-27, 2009 (Released:2009-07-14)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

溶解性と膜透過性の高低によって,化合物を4つのクラスに分類するBCSの考え方を創薬に導入することにより,それらを経口投与したときに問題となる現象を整理し,その原因をメカニズムから理解することができる.また,それぞれの原因に対して,吸収改善のための有効な製剤的方策を示唆することも可能である.溶解性および膜透過性が良好なクラスに属する化合物の場合,その経口吸収性が優れているために,開発期間の短縮やコストの削減が可能となることから,創薬においてはこのような化合物を医薬品候補として選択することが重要となる.一方,溶解性と膜透過性の両方が低いクラスの化合物では,製剤的な対応は難しく,医薬品の候補化合物として好ましくない.創薬から臨床開発,さらには上市された後まで見通したBCS戦略を持つことにより,安全で有効な医薬品を,できるだけ早期に医療の現場へ提供することができるものと考えている.

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