著者
糸見 安生 相良 将樹 藤谷 靖志 河村 透 瀧澤 正之
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.142, no.2, pp.68-72, 2013 (Released:2013-08-09)
参考文献数
40

病態の発症・進展に抗体が関与する抗体依存性疾患の治療には,現在主にステロイド剤や免疫抑制剤が使用されているものの十分な治療効果が得られているとは言い難い.これは抗体を産生している形質細胞が既存薬に対し抵抗性を示すことが原因の一つであると考えられる.そのため形質細胞に直接作用する薬剤はより効果的な抗体依存性疾患の治療薬になり得ると期待できる.プロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブは多発性骨髄腫やマントル細胞リンパ腫の治療薬として使用されており,その作用機序のひとつとしてがん化した形質細胞を直接除去することが知られている.近年,ボルテゾミブが形質細胞数を減少させ抗体価を低下させることで,抗体依存性疾患である全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)および腎移植時の抗体関連型拒絶(antibody-mediated rejection:AMR)に対して有効性を示すという臨床および非臨床における知見がいくつか報告されてきている.これらのことから,プロテアソーム阻害薬は既存の治療薬とは異なり形質細胞を直接除去する作用を有するため,抗体依存性疾患に対してより有効な治療薬になると考えられる.

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「抗体依存性疾患治療薬としてのプロテアソーム阻害薬」 https://t.co/9zrzYE1XFK

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