- 著者
-
粕谷 善俊
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.145, no.1, pp.21-26, 2015 (Released:2015-01-10)
- 参考文献数
- 24
p38は,細胞外の刺激を核内の転写制御機構へとつなぐシグナル分子,MAPK(mitogen-activated protein kinase)ファミリーの1つであり,特に,ストレスや炎症性サイトカインにより活性化されることから,JNK(c-Jun N-terminal kinase)やERK5とともにストレス活性化プロテインキナーゼ(stress-activated protein kinase:SAPK)とも呼ばれている.p38の発見から20年が経過し,その多岐にわたる生理的・病態生理的機能が明らかになっているとともに,関節リウマチを始めとする炎症性疾患の創薬ターゲットとして着目され,近年,p38阻害薬の開発が精力的に行われてきた.本稿では,p38の機能を解説するとともに,p38阻害薬の治療応用の可能性も含めて,その動向についてふれたい.