著者
田村 須賀子 上杉 絵理 曽根 志穂
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.85-92, 2007-10-10 (Released:2017-04-20)

保健師は,地区住民の健康生活上の援助ニーズを把握し,個人あるいは住民集団に対して看護援助を提供する.本稿では,保健事業の実践過程における保健師の意図と行為を記述することにより,保健師による保健資源提供活動の特徴を明確にすることを目的とする.研究対象は,熟練保健師による保健事業の実践過程7事例である.調査項目は,保健師の意図,保健師の行為である.熟練保健師とは保健師として原則5年以上の実務経験があり,実践活動の詳細な記述と現状分析ができる者とした.保健師による保健資源提供活動の特徴は,1)公衆衛生・疾病予防の観点で,住民の生活実態・健康課題を捉え,より重点的に対応すべき援助ニーズを明確にする,2)事業対象者およびその家族ばかりでなく,全数に対する提供を原則とし,適切な健康行動とライフスキルを獲得できるようにする,3)住民あるいは関係機関と協働し主体的な課題解決を促すために,既存の保健事業の活用または他事業と連絡・調整した一体的な展開を図る,4)国や都道府県の施策に関連づけて,その地区の実情に合った保健福祉事業の推進体制の基盤整備をする,と考えられた.保健師の意図を記述することにより,保健事業の実践過程の特徴を明確にし,保健師の住民に対する責任と役割を共有でき,より質の高い実践活動を導くことができると考えられた.

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