著者
有本 梓
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.37-45, 2007-03-30 (Released:2017-04-20)
被引用文献数
3

目的:児童虐待に対する保健師活動に関する研究結果を整理し,今後の研究・実践上の課題を明らかにした.方法:1996〜2006年7月に発表された文献を対象に医学中央雑誌とMEDLINEを用いて検索し,得られた論文34本を対象とした.結果:研究結果は「保健師が関わる事例の特徴」,「保健師の支援内容と求められる知識・技術」,「保健師の新たな役割」に分類できた.保健師が関わる事例の多くは,母子保健活動の対象で,保健師が最初に関わり長期間継続支援する場合が多かった.支援内容は,虐待者・母親の精神的支援,子どもの発達・安全の確認は具体的に明らかになっていたが,家族支援,関係機関との連携・調整については具体的な内容は明らかではなかった.ケースマネジメントの知識・技術が求められており,保健師は職場や経験によらず,個別支援の方法,家族支援の方法に関する研修を希望していた.近年,児童福祉分野での役割も求められていた.研修や職場内外での協力体制等の環境上の課題も明らかとなった.考察:今後の課題として,(1)虐待予防に貢献するための母子保健事業の活用と評価,(2)家族支援に関する研究の必要性,(3)連携・調整,社会福祉の知識・技術に関する研究実践および研究成果の活用,(4)新たな役割に向けた研究の継続・充実,(5)研修の企画運営の工夫および職場の上司・同僚,関係機関との協力体制の確立,が考えられた.

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