著者
守屋 真紀雄 太田 安彦 川島 篤弘
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.742-747, 2010-05-15 (Released:2010-08-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

症例は39歳,女性.右前頸部腫瘤の穿刺吸引細胞診にて扁平上皮癌と診断され,精査加療目的に紹介された.画像所見より,原発不明癌の頸部リンパ節転移,または縦隔癌を疑い,腫瘍摘出術を施行した.病理学的に,大部分が未角化な腫瘍で,一部角化を伴い,ハッサル小体様の構造も認め胸腺癌が疑われた.免疫組織化学染色では,胸腺癌のマーカーであるCD5が陽性であり,その他の免疫組織化学染色結果と合わせてCarcinoma showing thymus-like differentiation(以下CASTLE)と診断した.CASTLEは甲状腺内あるいは頸部軟部組織の異所性胸腺や胎生期胸腺遺残組織から発生する非常に稀な腫瘍である.頸部・上縦隔腫瘍の鑑別診断としてCASTLEを念頭に置く必要がある.

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