著者
中道 圭人
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.210-220, 2017 (Released:2019-12-20)
参考文献数
22

本研究は,ふたり親家庭・母子家庭による幼児の社会的行動の違いについて検討した。ふたり親家庭の3–6歳児174名(男87,女87:M=62.04か月),母子家庭の3–6歳児201名(男107,女94:M=62.91か月)が公立の子ども園から参加し,仲間との関わりの中での社会的行動を担当保育者によって評定された。社会的行動の評定は,攻撃行動,向社会行動,被排斥,非社交行動,過活動,不安-怖がりを含んでいた。その結果,以下のことが示された:a)外在的な問題行動(攻撃行動,過活動),内在的な問題行動としての不安-怖がり,仲間関係の良好さに関わる被排斥では,ふたり親家庭・母子家庭による違いはなかった;b)母子家庭の幼児は,ふたり親家庭の幼児に比べて,仲間との関わりの中での向社会行動が少なく,非社交行動が多かったが,これらの違いはきょうだいの有無や評定者の保育経験年数に影響されていた;c)ふたり親・母子家庭のいずれにおいても,幼児の向社会行動は外在的/内在的な問題行動と負に関連し,外在的/内在的な問題行動は被排斥の多さをもたらした。これらの結果は,欧米と比べて日本では,母子家庭であることが幼児の外在的な問題行動や被排斥に及ぼす影響が小さいという可能性を示唆している。

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