- 著者
-
千葉 翔
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
- 巻号頁・発行日
- vol.103, no.6, pp.391-394, 2021-12-01 (Released:2022-04-08)
- 参考文献数
- 30
オオシラビソ種子の発芽に対する乾燥の影響を調べ,4℃および-20℃で貯蔵した種子の発芽率の推移を観察した。種子の含水率を4段階(無処理,9.9%;弱乾燥,7.1%;中乾燥,6.3%;強乾燥,5.1%)に調整して発芽実験を行ったところ,乾燥強度に応じて発芽率が低下する傾向はなく,どの処理でも7割以上の種子が発芽した。4℃で冷蔵貯蔵した種子の発芽率は,処理の違いに関わらず3年後に10%未満となった。一方,-20℃で冷凍した場合は貯蔵から3年が経過しても48.3~77.4%の種子が発芽した。以上の結果から,同種の種子は含水率を調節しての冷凍貯蔵が可能であり,2~3年とされる結実周期のカバーには氷点下での保存が有効と考えられる。