著者
入戸野 宏
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.5-18, 2006-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
63
被引用文献数
16 12

二次課題に含まれるプローブ刺激に対する事象関連電位 (event-related brain potential : ERP) の後期陽性波 (P3またはP300) の振幅は, 主課題に配分される知覚-中枢処理資源の量と負の相関関係にある。この理論が生まれた経緯について述べ, ERPを用いたプローブ刺激法の簡単なレビューを行う。次に, Suzuki, Nittono, & Hori (2005,International Journalof Psychophysiology, 55, 35-43) を補足する実験を報告し, 聴覚プローブ刺激に対するP300の振幅が映像 (ビデオクリップ) への関心度に応じて変化すること, それは映像の知覚的複雑さが同等であっても生じることを示す。具体的には, 実験参加者がビデオクリップを最初に見るときの方が, 同じ映像を5回目に見るときよりも, プローブ刺激に対するP300の振幅が小さかった。また, 知覚的に逸脱した非標的プローブ刺激に対するP300の方が, 同じ低確率で呈示される標的プローブ刺激に対するP300よりも, 振幅の減衰が顕著であった。労働以外の場面におけるERPを用いたプローブ刺激法の利点について論じる。

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