著者
栢野 香里 木下 翔太
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.185-191, 2019 (Released:2020-01-08)
参考文献数
20

甲状舌管囊胞の約1〜2%に癌が発生するが,その多くは壮年期までの発症である。また,遠隔転移の本邦報告例はこれまでにない。今回,骨転移をきたしたと推測された後期高齢者での発症例を報告する。症例は89歳男性。55mm大の前頸部腫瘍と右頸部転移リンパ節に対し,Sistrunk法による腫瘍切除,右頸部郭清,喉頭挙上,気管切開術を施行したが,6か月後に左頸部リンパ節転移と甲状腺右葉内の微小癌が判明し,左頸部郭清,甲状腺右葉切除を施行した。術後,右大腿骨転移が出現したため,放射線外照射を行い,デノスマブを投与中である。甲状舌管癌も甲状腺癌同様,骨転移をきたす。また,高齢者発症例では併存疾患や嚥下機能に考慮した治療選択が必要である。

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