- 著者
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福田 宏之
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
- 雑誌
- 頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.119-124, 1993-11-26 (Released:2010-07-27)
- 参考文献数
- 7
早期声帯癌に対しては,放射線療法,内視鏡下レーザー治療,声帯切除などが試みられる。いずれも一長一短あり適応を間違えなければそれぞれ優れている面がある。喉頭を切開して患側声帯を切除するのが切除範囲を決めたり,確実に切除するのに適している。しかしこの場合の欠点は残された音声に相当の障害が残ることである。それは声門閉鎖不全のため気息性の強い嗄声となるためである。そこで同側仮声帯の後部を茎とする筋粘膜弁を作成し,声帯を切除した跡地に移動,縫合して新しい声帯を作り声門閉鎖不全を防ぐ再建手術を考案した。声帯切除と同時に行えるので患者は術後一週間程度で会話可能である。