著者
上田 実 中村 葉子 岡田 正弘
出版者
一般社団法人 植物化学調節学会
雑誌
植物の生長調節 (ISSN:13465406)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.61-71, 2008-05-31 (Released:2017-09-29)
参考文献数
46

植物の運動に関する研究は,ダーウィン以来の長い歴史を持つ研究である.我々は,多くの運動のなかで,特に植物の就眠運動と食虫植物ハエトリソウの捕虫運動の有機化学的研究を行ってきた.これまでに, 5種の植物から就眠運動をコントロールする就眠・覚醒物質が単離・構造決定された.これらの作用機構解明を目指し,機能性分子プローブを開発した.光学活性な就眠物質の両鏡像体を用いるエナンチオ・ディファレンシャル分子プローブ法によって,運動細胞膜画分に,就眠物質の立体化学を認識する膜タンパク質が存在することがわかった.また,ハエトリソウが虫を捕らえる運動は,捕虫葉にある感覚毛に30秒以内に2回の刺激を受ける必要があり,一回の刺激では決して運動は起こらない.これは高等植物の「記憶」現象とも言うべき現象である.最近,この「記憶」現象に関与する生理活性物質が発見された.「記憶」は,複数回の刺激によって活性物質が段階的に分泌されることで説明できると推定される.

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@yumerou_cos よくお調べになっておられるようなので既にご承知かも知れませんが 特定の化学物質の蓄積が閾値を超える事、それが捕虫葉の閉じる動作のトリガーになる事までは10年程前に判明しているようです 詳しくはこちらの論文を参考になさってください https://t.co/zCjqlLiu8B

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