著者
波多野 孝史
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.309-315, 2014 (Released:2014-11-07)
参考文献数
26

腫瘍径4cm以下の小径腎癌に対する治療としては,腎部分切除術が推奨されている.しかし多種多様な合併症等により手術が困難な症例も少なからず存在する.このような症例に対しより低侵襲の治療法として,凍結治療やラジオ波焼灼治療などのenergy ablative therapyが行われている. 【凍結治療と腎部分切除術の比較】現在小径腎癌に対する凍結治療は,その有効性,安全性が確認されているものの,腎部分切除術との前向きな比較試験のデータはなく,長期予後や合併症に対する詳細な検討はできていない.後方視的検討では,制癌性に関して凍結群は部切群に比較して局所再発の相対危険度は5.24と有意に高値であった.また遠隔転移の相対危険度は1.86であった. 一方凍結治療術後3~5年の癌特異的生存率は98~100%であり,凍結治療の制癌性はきわめて高いことが確認されている.凍結治療は腎部分切除術と比較し,低侵襲の手術で合併症の頻度も低い傾向であった.単腎症例における検討において,凍結治療は腎部分切除術より腎機能に及ぼす影響は軽微であった.これらより高齢者や単腎,合併症を有する小径腎癌症例において,凍結治療はその適応が拡大される可能性が十分にあると考える. 【今後の展望】脳神経外科や整形外科領域においては,既にインターベンションにおける穿刺ナビゲーションシステムが導入され,モニター画像の撮像時間の短縮や穿刺針の正確な刺入において有用性が報告されている.現在国内において画像ガイド下経皮的凍結治療は腎癌のみならず肺癌,乳癌,肝癌,骨腫瘍等に対して施行されている.今後ナビゲーションシステムが広く普及することにより,画像ガイド下経皮的凍結治療がより一層安全で低侵襲な治療法として幅広い領域で応用されるものと考える.

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編集者: Thomas-h
2019-12-23 15:42:14 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

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