著者
矢澤 浩治 川村 正隆 伊藤 拓也 松山 聡子 松井 太 松本 富美 島田 憲次
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.285-289, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
8

【目的】われわれの施設ではこれまでに男子小子宮/男性膣に対して様々な方法で手術を行ってきた.最近では腹腔鏡下摘除術を行うようになってきており,その症例につき臨床的検討を加えた. 【対象・方法】1992年より2014年10月までに大阪府立母子保健総合医療センターで男子小子宮/男性膣に対して腹腔鏡下摘除術を行った5例を対象とした.手術時間,出血量,術後の合併症について検討を行った. 【結果】手術時間は,159±19.4分,出血量は,6.6±3.1mlであった.術後,Clavien-Dindo分類でGradeⅠの合併症も認めなかった. 【結論】男子小子宮/男性膣に対する腹腔鏡下摘除術は,開腹手術よりも良好な視野で手術が可能であり非常に有用な手術方法と思われる.
著者
田中 徹 石塚 昌宏 小倉 俊一郎 井上 克司
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.29-34, 2011 (Released:2014-02-07)
参考文献数
18

5-アミノレブリン酸(ALA)は天然のアミノ酸で広く動植物に含まれ,クロロフィルやヘムの前駆体として重要な役割を果たしている.ALAは通常の食品にも含まれ食品を通じて摂取しており,我々人間の体内でもALAは1日700mg程度生成,消費されていると考えているが,これを上回る量のALAを外生投与するとヘムの前段に当たるプロトポフリリンIX(PPIX)が蓄積する.特にがん細胞においてはPEP-T1などのALA取り込みが亢進しており,また,解糖系にエネルギー生産を依存するためヘムの要求量が低く,その結果,正常組織よりPPIXの蓄積が高い.ALA自身は蛍光を示さないが,代謝物であるPPIXは蛍光物質であり,PPIXの光増感性を利用した光動力学的治療(PDT)や診断(PDD)が盛んに研究され,海外では皮膚がんの治療や脳腫瘍の術中診断などではすでに実用化している.ALAを用いたPDT,PDDはALAやPPIXが内在物であるため,他の増感剤と比較して代謝,排出が早く,光毒性の問題がほとんど起こらない.光毒性の問題がないALA-PDT,PDDは,泌尿器科領域はもちろん,多くの分野でがんの診断,治療に用いられるものと期待されている.
著者
太田 純一 大竹 慎二 南村 和宏 澤田 卓人 藤川 敦 林 宏行 森山 正敏
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.289-293, 2013 (Released:2013-11-16)
参考文献数
10

経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術(Transurethral resection of bladder tumor in one piece:TURBO)は,腫瘍を細切せず一塊に切除することで,より正確な病理診断が可能である.その治療成績と病理診断における有用性について報告する.膀胱腫瘍135例,173病変に対し経尿道膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)を施行した.切除は1.marking,2.粘膜切開,3.水平切除,4.腫瘍摘出の順に施行した.腫瘍は膀胱内いずれの部位でも切除可能であり,合併症も許容される範囲であった.切除検体に筋層を含む症例は123例(91.1%)に認めた.pT1 23例中22例(95.7%)に粘膜筋板を認めた.粘膜筋板を超えない浸潤であったT1症例は進行例を認めないが,粘膜筋板を超える浸潤を認めた7例中4例に病期進展を認め,1例に上部尿路再発を認めた.TURBOにおける深達度診断は正確であり,粘膜筋板浸潤の有無は予後と相関する可能性が示唆された.
著者
蔦原 宏一 栗林 宗平 山道 岳 川村 正隆 中野 剛佑 岸本 望 谷川 剛 今村 亮一 高尾 徹也 山口 誓司
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.97-100, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
10

鏡視下ドナー腎採取術においては左腎の方が右腎より血管長の確保が容易であることから,左側の腎採取が選択される場合が多い.手術成績について採取側別に比較検討した. 対象は2003年1月から2014年6月までに当科で後腹膜鏡下ドナー腎採取術を施行した98例を対象とした.右腎採取は26例(26.5%)であった.手術時間,出血量,温阻血時間など各因子について検討した. 手術時間は左257.5(182-506)分,右256(196-374)分,温阻血時間は左150(60-330)秒,右204(120-393)秒,総阻血時間は左120(69-637)分,右104(60-183)分であった.温阻血時間については右腎採取において有意な延長を認めたが,総阻血時間については逆に左腎採取において有意に長かった. 左腎採取に比べ右腎採取では温阻血時間の延長を認めたが,総阻血時間については右腎採取で短く手術成績は両側とも遜色ないものと考えられた.
著者
絹笠 祐介
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.11-15, 2012 (Released:2014-02-07)
参考文献数
9

直腸癌の手術において根治性と機能温存の両立をはかるためには,温存すべき自律神経と直腸周囲の膜構造の理解が必要不可欠である.手術で損傷しやすい神経は下腹神経および骨盤内臓神経,骨盤神経叢とその臓側枝である.神経温存のメルクマールとなる筋膜は下腹神経前筋膜およびDenonvilliers筋膜である.筆者らはこれらの筋膜を温存する術式を取り入れている.また,近年の肛門温存術式の進歩により,より詳細な肛門周囲,特に肛門直腸移行部の解剖の理解も,これらを扱う外科医にとって必要不可欠となった.

1 0 0 0 序文

著者
荒川 孝 奴田原 紀久雄
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1, 2015

従来の上部尿路結石破砕治療の評価は,1989年に日本泌尿器科学会雑誌に公表された故園田教授等による『Endourology・ESWLによる結石治療の評価基準』が大筋で用いられていた.しかし近年においては,この評価基準が公表からあまりにも時間が経過しているためその存在が忘却され,各学会発表,各掲載論文がそれぞれ異なる基準により報告されていることが多く統一性が失われ,それ故それぞれの治療成績の比較が正当に行われているか否かに疑問が残される.また,結石の大きさの評価法も時代とともに変化してきている.これらの事柄を修正し,AUA,EAUいずれの最新ガイドラインでも示されていない,時代に即応した『新たな尿路結石治療効果判定』を提案するべく,2011年秋頃より荒川と東先生,麦谷先生,山口先生の4人の有志により模索が始められた.これは新たなルール作成の作業であるため,慎重に時間と手間を掛け,2013年の日本尿路結石症学会第23回学術集会と第27回日本泌尿器内視鏡学会総会,2014年の第102回日本泌尿器科学会総会と第79回日本泌尿器科学会東部総会の4つの学会において,各学会会長のご理解とご協力のもと『新たな尿路結石治療効果判定の提案』と題した内容でシンポジウムを開催させて頂いた.繰り返し会員の先生がたのご意見を伺いながらversion upし,最終的に今回の本誌特集に於いて論文発表をさせて頂いた.その過程で先の4人に加え,宮澤先生,奴田原先生にもご参加頂き,合計6人が今回の特集の構成メンバーとなった.本特集では,最初に宮澤先生より『国内外における結石破砕治療評価の現状について』と題してご報告頂く.現状では,治療前の結石の大きさの表現方法はKUBや超音波検査による結石の長径,近年の尿路結石診断で多用されるCT検査を用いた結石の表面積を用いたものや,3次元画像を用いた結石の体積など様々である.小さな結石であれば大きな誤差は少ないかもしれないが,大きな結石になると,単純な長径だけの比較と表面積や体積の比較では大きな違いが生じてくる.この疑問に答えるべく東先生は『結石の大きさの術前評価と残石の評価法』において結石の大きさを体積表記に統一する提案をされている.様々なデータ解析を用いて,CTを実施していない症例に於いても簡便に体積の近似値を求める計算式を提示されている.更には,大きな結石に於いては残石率という概念の提案も併せてなされている.結石の外科的治療は完全摘出が基本であろうが,評価の一助となろう.また,治療結果の判定においては,stone freeのみが治療成功の評価なのであろうか?との疑問もある.つまり結石の存在により生じた尿の通過障害の解除は評価されなくてよいのであろうかという点である.これにつき麦谷先生は『結石治療後の尿路閉塞解除の評価について』の中で,結石による閉塞の解除が確認できた症例を成功例とする提案を行っている.最後に山口先生より我々6名の提案を具体的な表にして示して頂いた.これらの提案は,学会の正式な委員会設置によるものではないので拘束性は無い訳であるが,一つでも多くの学会報告,論文作成においてお役に立つ事が適うならば,我々6名望外の喜びである.なお,この特集の根幹をなす東先生の論文に於ける共同著者である山田先生に対し,膨大な数の症例のデータ分析に多大なるご尽力を頂いた事に対し,深く感謝申し上げる次第である.

1 0 0 0 序文

著者
木下 秀文 佐藤 文憲
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.115, 2017

<p> 尿膜管は膀胱から臍にいたる管腔であるが, 臍から膀胱頂部までの様々な部位で, 拡張した管腔が遺残する場合がある. 部位により, urachal cyst, urachal fistula, urachal sinus, urachal diverticulumなどと呼ばれる. これに感染などを伴うと, 疼痛や発熱, 臍からの膿の流出, 血膿尿などの症状が現れ, 症候性 (感染性) 尿膜管疾患として治療される. 急性期は一般的に, 抗菌薬などの治療が中心となるが, 再発することもあり, 外科的な治療が考慮される.</p><p> 従来は開腹手術により遺残尿膜管を摘出していたが, 腹腔鏡下尿膜管摘除術が保険収載され, より低侵襲な外科的治療として普及してきている. しかしながら, 手術症例自体がさほど多くないため, 術式についてコンセンサスは得られておらず, 施設ごとに様々なアプローチがなされているのが現状である. 経験の多い施設でも, 年間に数例程度の手術症例数であろう. 手技自体は, 比較的容易であり, ほとんど経験のない施設でも比較的導入しやすい手術であると思われる.</p><p> 本稿では, 腹腔鏡下尿膜管摘除術の変遷と今後の方向性を佐藤先生に概説していただき, 基本的な術式 (側方アプローチ) を荒木先生に解説していただいている. もう一つの基本的なアプローチとして, 正中アプローチがある. この術式は, 臍の部分からopen laparotomyでカメラポートを挿入し, 左右の傍腹直筋レベル (臍よりやや尾側) に術者の左右のポートを置く術式である. 近年, このアプローチの発展型として, 単孔式腹腔鏡下尿膜管摘除術を行う施設も増加してきており, 矢西先生, 石井先生, 金先生には単孔式の術式について解説していただいている. また, 臍は腹部に位置する唯一の"チャームポイント"であり (あくまで個人的な意見です), 臍をどのように扱うかには, 各施設・各術者で様々な考えがあると思われる. 金先生には特に臍形成の工夫について解説していただき, 矢西先生には, 本術式の整容性について, データを示していただいている.</p><p> 本稿が, これから腹腔鏡下尿膜管摘除術を導入する先生方および単孔式手術に移行しようとされている先生方の一助になれば幸いである.</p>
著者
遠藤 文康 大脇 和浩 新保 正貴 松下 一仁 大山 雄大 新村 智己 京野 陽子 阿南 剛 小松 健司 服部 一紀
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.212-215, 2017

<p> モーセレーションで吸引困難な硬結 (beach balls, BB) の出現予測因子を検討. 対象 : 聖路加病院で2014/1-2016/6実施されたHoLEP症例でバーサカットによりモーセレーションされた248例. 方法 : 目的変数をBBの有無, 説明変数を年齢, BMI, PSA, 尿閉既往, 膿尿, Dutasteride内服, 前立腺推定容積, MRIでのnoduleの有無, 中葉の存在として統計学的検討を施行. 期間中に3種類のモーセレータチューブを使用しており, その影響も検討. 結果 : BB発生は20.6% (51/248). BB出現時モーセレーションは27分延長. 単変量解析ではPSA中央値 (BB無vs有=4.69 vs 6.84 p=0.016), 前立腺容積 (53.1 vs 81.9, p<.0001) が有意だったが, 多変量解析では容積のみ有意であった (OR 1.031, p<.0001). チューブは1世代に対し, 2世代でBBの出現が増加 (OR3.69, p=0.005). 前立腺容積のROC解析ではAUC0.743, カットオフ値は61ml (感度61.2%, 特異度78.45%) と算出された.</p>
著者
中島 和江
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.54-60, 2017 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13

外科手術・治療の進歩は目覚ましく,患者への侵襲度の低減,生命予後やQOLの向上等に寄与している一方で,治療手技の高難度化,高齢で併存疾患を有する患者の増加等は,医療安全上の脅威となっている.これまでの医療安全は,有害事象を減らすことを目的として,「失敗事例」を学習の対象とし,特定された原因に対して個別の安全対策を講じてきた.近年,新しい医療安全へのアプローチとして注目されているレジリエンス・エンジニアリングは,複雑適応系である医療システムが,変動し続ける環境において,限られたリソースのもとで柔軟に対応できているメカニズムを解明し,またそのレジリエンス特性(柔軟性や適応力)を利用し,「うまくいくこと」を増やそうとするものである. 本理論では,失敗事例ではなく,普段の仕事がどのように行われているのかについて理解することを中心的課題として扱う.また業務プロセスについては,タスクを時間軸でシーケンシャルに説明するのではなく,ノンリニアな視点でさまざまな機能が相互作用を通じて変動していると捉える.さらに,システムを広く見て,システムを構成する人々の行動(ミクロの視点)とシステム全体(チームや組織等)の挙動(マクロの視点)を分析する.手術チームや病院組織がどのようにパフォーマンスしているのか,レジリエントなシステムはどのような能力を発揮しているのか等を明らかにすることができれば,動的で複雑なシステムを安定的かつ柔軟に制御することが可能になると期待される.
著者
三宅 牧人 桑田 真臣 穴井 智 辰巳 佳弘 井上 剛志 千原 良友 平尾 佳彦 藤本 清秀
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.373-381, 2014 (Released:2014-11-07)
参考文献数
20

膀胱癌に対する5-アミノレブリン酸(5-ALA)を使用した蛍光膀胱鏡補助下経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の診断精度および膀胱内再発予後の向上について検討した.膀胱癌96例を対象とし5-ALA溶液を経口または膀胱内投与し,白色光モードおよび赤色蛍光検出モードを切り替えながら膀胱内を観察した.採取した膀胱上皮組織の病理診断結果とモード別の画像所見から診断精度を評価した.白色光モードと比較して,蛍光検出モードでは特異度は低下したが(76.3% vs. 白色光84.6%),癌検出感度は向上した(84.5% vs. 白色光71.6%).蛍光膀胱鏡補助下TURBT症例と従来の白色光下TURBT症例をhistorical controlとして再発率を比較したが有意な差は認めなかった.蛍光膀胱鏡補助下TURBTは,診断薬5-ALAに起因する重篤な副作用もなく,癌の検出に有用で安全な手技であることが示されたが,治療成績については今後の多数例での前向き比較試験での評価も必要である.
著者
青木 雅信 平野 恭弘 阿曾 佳郎
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.152-157, 2011 (Released:2014-02-07)
参考文献数
10

ESWL施行後に発生した腎被膜下血腫および腎周囲血腫症例について臨床的に検討した.  対象は2005年1月から2009年5月までに当院でESWLを施行した腎結石123例で,腎被膜下または腎周囲血腫を合併した28例と合併しなかった95例について臨床的に比較し,血腫形成についての危険因子を検討した.腎周囲血腫を4例認め,そのうち3例に高血圧の既往があり降圧剤を内服していた.血腫形成群は血腫非形成群と比較してbody mass index(BMI)25kg/m2以上の割合が有意に高かった.また,全ESWL180回における検討では血腫形成群においてESWL施行中の血圧が有意に上昇していた.さらにBMI 25kg/m2以上であること,ESWL施行中に収縮期血圧が30mmHg以上上昇することが血腫形成の危険因子であった.  ESWLを施行する際には,既往歴,内服薬,肥満度を念頭において,施行中の血圧変化に十分な注意を払うべきであると考えられた.
著者
波多野 孝史
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.309-315, 2014 (Released:2014-11-07)
参考文献数
26

腫瘍径4cm以下の小径腎癌に対する治療としては,腎部分切除術が推奨されている.しかし多種多様な合併症等により手術が困難な症例も少なからず存在する.このような症例に対しより低侵襲の治療法として,凍結治療やラジオ波焼灼治療などのenergy ablative therapyが行われている. 【凍結治療と腎部分切除術の比較】現在小径腎癌に対する凍結治療は,その有効性,安全性が確認されているものの,腎部分切除術との前向きな比較試験のデータはなく,長期予後や合併症に対する詳細な検討はできていない.後方視的検討では,制癌性に関して凍結群は部切群に比較して局所再発の相対危険度は5.24と有意に高値であった.また遠隔転移の相対危険度は1.86であった. 一方凍結治療術後3~5年の癌特異的生存率は98~100%であり,凍結治療の制癌性はきわめて高いことが確認されている.凍結治療は腎部分切除術と比較し,低侵襲の手術で合併症の頻度も低い傾向であった.単腎症例における検討において,凍結治療は腎部分切除術より腎機能に及ぼす影響は軽微であった.これらより高齢者や単腎,合併症を有する小径腎癌症例において,凍結治療はその適応が拡大される可能性が十分にあると考える. 【今後の展望】脳神経外科や整形外科領域においては,既にインターベンションにおける穿刺ナビゲーションシステムが導入され,モニター画像の撮像時間の短縮や穿刺針の正確な刺入において有用性が報告されている.現在国内において画像ガイド下経皮的凍結治療は腎癌のみならず肺癌,乳癌,肝癌,骨腫瘍等に対して施行されている.今後ナビゲーションシステムが広く普及することにより,画像ガイド下経皮的凍結治療がより一層安全で低侵襲な治療法として幅広い領域で応用されるものと考える.