著者
杉山 登志郎 堀田 洋
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.15-23, 2019 (Released:2019-04-04)
参考文献数
15

わが国の子ども虐待は疫学統計の常識を覆す増加を続けている.われわれは,表向きは発達障害であるが,治療的に取り組んでみると,親子とも背後に子ども虐待の影響が認められる親子への併行治療に取り組んできた.子ども虐待によって生じる愛着障害から始まる一連の臨床像の推移は,発達性トラウマ障害(developmental trauma disorder)として知られている.その最終的な臨床像は,複雑性PTSDである.ICD-11の診断基準には,従来のPTSDの3症状(侵入症状,過覚醒,回避)に加え,気分変動と他者との関係の障害および,自己価値の障害の3者が加えられた.われわれは,これらの親子に対して,安全に実施できる治療手技について試行錯誤を繰り返してきた.発達性トラウマ障害と複雑性PTSDの臨床像を紹介し,治療を実施するうえでの留意点を説明した.さらに,簡易型トラウマ処理を組み込んだ,安全に外来臨床で実施が可能な,複雑性PTSDへの治療パッケージを提示した.

言及状況

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@sirura 愛着障害は多分そうだったような……より後天的と言いますか……なかなかうろ覚えでしてすみませんw あれなら上記書籍の著者の論文が落ちてたので、このあたりとかどぞどぞ https://t.co/PXifkUtqJj
> その最終的な臨床像は,複雑性PTSDである.ICD-11の診断基準には,従来のPTSDの3症状(侵入症状,過覚醒,回避)に加え,気分変動と他者との関係の障害および,自己価値の障害の3者が加えられた これ、私の症状にピッタリ当てはまる。https://t.co/7nncVjRCDE

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