著者
寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.331-339, 2016 (Released:2017-03-24)
参考文献数
10
被引用文献数
3 6

腹診における鼠径部の圧痛が当帰四逆加呉茱萸生姜湯証を指示することが知られている。この事実は1963年に大塚敬節により発見されたものである。そして彼はこれを足之厥陰肝経と関連する徴候と考えた。しかしこの徴候が発現する背景はいまだ明らかにされていない。最近,著者はこの鼠径部の徴候が痞根(ExB4)に置針することによって消失することを見いだした。この臨床的事実から,本方証が恒常性維持機構と関連するとの仮説を呈示した。すなわち,寒冷環境においては下肢からの放散熱を防ぐために総腸骨動脈に交感神経性促進信号がもたらされ,その結果,骨盤腔内臓器の血流が低下する。痞根に対する鍼施術の効果は腸腰肋筋の硬結と内腹斜筋の緊張を同時的に緩ませるものとのと推測される。当帰四逆加呉茱萸生姜湯は骨盤腔内臓器と交感神経節との間に形成されている悪循環を遮断し,骨盤腔の虚血に関連するさまざまな症状を改善するのである。

言及状況

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L1より上部の脊髄に物理ダメージ 間脳≒自律神経系の失調 ↓ 四肢動脈、特に総大腿動脈〜総腸骨動脈の絞り込み&脊髄に有害刺激信号 →体温保持難∞化 ↓ 特に骨盤内臓器が虚血→臓器の機能失調 血流不足により細胞に十分な栄養が届けられない→余る ↓ 蛙腹 (寒証→虚証太り) https://t.co/Xkxeo33JVA https://t.co/TiWcginbyu
ほんとあの先生おそろしいわ‥ 痞根(ひこん : 経穴の名称)、常に痛いし硬結(しこり)がある‥ほぼ毎回 鍼灸院で鍼打ったりお灸したりしてもらってる場所‥ ※背面、肋骨に沿ってぜんぶ痛い 私の場合、この『

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